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◆Newyork1982 by Monochrome 

名称未設定8b  

27年前、僕が初めてNewyorkに降り立ったとき

そこには(頭の中の)見慣れた懐かしい風景があった

僕は米軍払い下げのだぼだぼの野戦ジャケットの下に

Nikonを左右の肩からぶら下げてマンハッタンの街を歩いた

脇の下を異様に膨らませたクルーカットの東洋人に

すれ違うニューヨーカーは眼差しを避け道を譲った

当時のNewyorkは危険だと言われていた

ハーレムやバワリーSTやサウス・ブロンクス(は絶対)は足を踏み入れるなと…

それで、そんな風体で歩く事にしたのだった

長い時間カメラを構えるな、立ち止まるな…

あらかじめ画角や露光と距離を概ね決めておいて…

ファインダーでフレ-ミングし、露出とピントを微調整したら

ワンカットかツーカットを素早く撮って移動した

撮られた相手がもし気付いても、その時にこちらはもう歩き出している

レンズは35ミリに28ミリ広角2本と105ミリに180ミリの長玉2本、フィルムはTRI-XとPLUS-X

 

 

名称未設定4b

 写真はそもそも現実のコピーであり

そのコピーをコピーしうるメディアである事に特質がある

写真家の個性は、コピーのためにどの現実を選択し

いかにそれと関ったかの表像に

かろうじて積極的な存在理由を持つにすぎない

 

 

名称未設定6b 

アメリカは貿易で破れ、製造業が衰退した

失業者は戦後最大規模といわれ

FBIはおとり捜査で日立と三菱の社員を

IBMへの産業スパイとして逮捕し

手錠を掛けたビジネスマンをTVカメラの前で引きづり廻した

アメリカがイライラしていた

日本はバブル(景気)に踊り始めた

 

 

名称未設定 1b

 目撃のための写真家による、一見リアルで忠実な記録は

背を向けた自由の女神とおびただしい東洋人の観光客を写している

実像を通じても、ある種の視覚的イメージはつくられる

いわゆる”コンテンポラリー”(フォト)とは

本来、”共同”とか”一緒”といった意味を持つ(写真)のである

 

 

名称未設定 2b 

大量の対極にあるものは、少量であり、その極限は1だ

当時のNewyorkにおけるオリジナル・プリントへの回帰現象は

大量主義へのアンチテーゼとして始まった

たった一枚(写真)からの、たった一ヶ所でのコミュニケーションなのだ

コミュニケーションというものを、自分自身の手の中に取戻すこと

自分自身の内面世界に、自分自身に会いに旅立ったことがある人間なら

自分の表現行為が、先ず第一に自分自身に対してなされるのだ

・・・という事を知っているはずだ

 

 

名称未設定5b

例えば映画でしか見たことのないような日本人が描くアメリカ人へのイメージ

ブルース・ウェーバーはモノクローム写真で80-90年代の気分を表現した

彼の描くアメリカ人の理想像が、カルバンクラインのアンダーウェア・ラインのコンセプトと一致した

この時代のファッションと写真の幸せな結婚がここにある

ラルフ・ローレン、ディオール・オム、コム・デ・ギャルソン、アバクロンビー&フィッチ、ボルボ

…なども、ブルース・ウェーバーの写真を求めた

Newyorkにはチャンスが転がっていた… 

 

 

名称未設定7b

70年台半ばにウォール街に彗星のごとく登場したマイケル・ミルケンという一人の天才

ジャンク債を大量に集めてパッケージ商品を企画した

クズでもたくさん集めてリスクを分散すれば利回りの魅力が勝ることを彼は発見した

黒板理論の金融工学がこれを後押して、実際に運用させる

欲の為に壮大な博打が膨れあがった

リスク分散のためにグローバリゼーション(経済)を世界に押し付けた

この時期に01年の9・11テロや

08年の金融破綻の芽が仕込まれた

 

 

名称未設定10b 

スタインベック文学のNewyork

ライザミネリの「Newyork Newyork」は77年のアメリカ映画

ビリー・ジョエルが歌う「ニューヨーク54番街」や「ニューヨーク物語」

若く野心があるならNewyorkはもしかしてチャンスのある街

老いても住み続けるにはコストとリスクを受容れる

それでも魅力に富んだ囚われの街

彼らはその後どうしているだろう

 

 

 

名称未設定9b

ニューヨーカーたちの帰宅の時間

彼らのほとんどは郊外の自宅からマンハッタンに通う

「島」に住むNYっ子はSONYやPanasonicをアメリカ製品だと思っている

だって、俺が生まれたときからブロードウェイに広告塔が建っていたんだゼ

 

 

 

名称未設定11b

ロックフェラーセンタービルの窓を開けてミッドタウンを見下ろす

ミスター・ロックフェラーも同じ景色を眺めたのだろう

7年後に日本企業が買収してアメリカ人の反感を買う

当時の日本の資金はアメリカ全土が買えるなどと嘯(うそぶ)いていた

マンハッタンに住むのは金持ちか貧乏人

市の財政は火のくるまで、警察官が増やせずに治安は悪化

クイーンズボロー橋の路面に開いた穴も補修できず

多くの橋が未補修で耐用年数越え

「いつ落ちても不思議では無いが、今すぐに落ちるとは思わない」

…とは市の道路管理責任者の苦しい言い訳か

 

 

昨年の9月にサブプライムローンを引き金に危機を迎えたアメリカ経済ですが、今回はこの時期81-82年よりも更に厳しいそうです。この時の僕はそんな事もあまり意識せずに、憧れだったNYを堪能しておりました。

 

 

IMG_5291b.jpg

現在手元に残してある35mmフィルム一眼レフ。

左から「Canon EOS-1nHS」 「NikonF2フォトミック」 「CONTAX RTSⅢ」 

Nikonはフィルム巻き上げ・フォーカス手動、露出も手動
CONTAXはフィルム自動巻上げでフォーカスは手動、露出は自動可
Canonはフィルム巻き上げ・フォーカス・露出もすべて自動


はからずも時代の違う一眼レフカメラの進歩?の経過が標本されている…と思う
ストラップが付いている、CanonとCONTAXは現役

写真でボディに付いている各レンズはすべて「50mm/f1.4」

 

◆ニコンF2フォトミック

IMG_5308b.jpg

 82年頃常用していたのはモーター付きのF3だったけれど

Newyorkにはフィルム巻き上げモーター無しのF2を持って行った(F2モーターは凄く重い)

F2はすべての感触が若干硬いけど、手巻きの感触はF2のほうがカッチリとして好きだった

それにファインダーがF3よりもクリアーに見える 

それにコイツは露光計以外は電気を一切使っていないし
少々ぶつけても「頑丈さではピカイチ」だ

FからF4まで使った経験から言えば、NikonはF2が一番!

 

 

今のデジタルデータが27年後にフィルムのように再現できるのか?

劣化・破壊・消失をクリアしても、ファイル互換性は保障されるのか?

次回はコダクローム(カラー)で撮った当時のNewyorkを考えています。 

 

テーマ : モノクロ
ジャンル : 写真

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